医師になりもうすぐ二十年…時々【研修医時代】を思い出します。
未だに「研修医時代の夢」を見ます。夜中に目が覚め「当直中」と勘違いすることも…
控えめに言って「悪夢」です(笑)。
昼夜を問わず働いていました。休日も担当患者さんの診察で病院に行くのが当然。
私がよくコラムに書く【医療に休みなどない】という台詞は、先輩医師からの受け売りです(笑)。
凄まじい忙しさにも理由がありました。病院の方針で「あらゆる患者さんを受け入れる」のです。
身寄りのない方、路上生活者、他の病院が受け入れを断ったあらゆる患者さんが運ばれてきました…。
それゆえ【極めて悪化した病気】に遭遇する機会も多かったのです。
先日ふと…「靴を脱いでベンチで寝ている方」を見かけました。
昼寝をしている方など珍しくありませんが…その方を見た瞬間、【研修医時代の記憶】が甦りました。
その方の「足」が、研修医の時に担当した「足を切断することになった患者さん」に酷似しており…
失礼ながら、警備の方と共にお声掛けさせていただきました。
幸い御家族もいらっしゃり、病院にも定期的に通われている方でしたが…
「この足のことは担当医に伝えてない」とのこと。
(医師は何も言わずとも全てを診断してくれる)と思っている方も少なくありません…
しかし、そうではないのです…。報告してもらわなければ判らないことがあります。
この方の足がまさにそうでしょう…。「必ず担当医に足の状態を見せるよう」お伝えしました。
【糖尿病性壊疽により足を切断】…かっての担当患者さんと同じ経過にならぬよう祈りつつ…。
【研修医時代の記憶】は、時に誰かの異変を伝えてくれます。
【医療に休みなどない】…先輩医師と同じことを言いながら、年中無休の当院に勤めています。
「初心忘れるべからず」…時折見る「悪夢…研修医時代の夢」にもそんな意味があるのかもしれません。