「よくある目の病気」と題したコラムも早10回となりました。
今回から2回にわたるコラムをもって、「よくある目の病気」を一区切りとしたいと思います。
今後のコラムでは、よくある病気に関わらず、様々な目に関する話題に触れていければと思います。
さて。今回から2回にわたりお話しするのは「はやり目」についてです。
ただし「はやり目」は、前回の「ものもらい」と同様、正式な病名ではありません。
医学用語では【流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis】といいます。
長いので「EKC(イー・ケイ・シー)」と略しましょう(実際に、医療関係者はこの略語を使います)。
●EKCは「ウイルス性結膜炎」
以前のコラムで「結膜炎は、様々な原因で起こること」をお話ししました。
ばい菌感染で起こる「細菌性結膜炎」、花粉などのアレルギーが関与する「アレルギー性結膜炎」、
…ではEKCは?
EKCは「アデノウイルス」と呼ばれるウイルスによる「ウイルス性結膜炎」の一種です。
強い充血と共に、目やに・涙が出たり、ごろごろするような異物感を訴えることがあります。
●治るまでに時間がかかることがある
細菌性結膜炎には抗菌薬、アレルギー性結膜炎には抗アレルギー薬などで対処しますが…
ウイルス性結膜炎であるEKCには、有効な治療薬がありません。
ウイルスに対する「抗体」というものができ、自然治癒することを待ちます。
「EKCが治るには時間がかかることがある」と御理解ください。
出された目薬は「他のばい菌感染を防ぐため」や「炎症の軽減」を目的としたものであり、
「数日で治るような特効薬ではないこと」、「治るのに2週間ほどかかることもある」と御理解ください。
●ほかの人にうつさないように
EKCは非常に強い感染能力を持ちます。EKCになってしまった自分自身の回復はもちろんですが…
「ほかの人にうつさないように」ということも、同じくらい大事です。
次回コラムでも、EKCについて引き続きお話ししますが、
【EKCの予防には、「手洗い」が非常に大事になります。】
EKCに限らず様々な眼病予防のためにも、
帰宅後にコンタクトを外す前、目の周りのお化粧を落とす前などには「手洗い」を心掛けてみてください。
それでは次回コラムにて。