今回のコラムは年明けに受診された患者さんの病気についてです。「白目にできものができた」とのこと。
●白目にできた水ぶくれ?
患者さんの了承を得て写真を掲載させていただきました。白目に水ぶくれのようなものが出来ています。
同じ症状で当コラムを見てらっしゃる方もいるかもですね。これについては以下のような事が言われてます。
・結膜(白目)にできる良性のできものである。目薬をしたり、そのまま様子を見ることもある。
・穿刺(針で突いて中身を出すことです)で処置することもある。しかし再発しやすい。
・何度も繰り返す時には手術を検討する。
私もこのような説明をしてまずは目薬を処方しました。
ただ、この「白目にできた水ぶくれのようなもの」…何という名前なのでしょうか?
●いろんな名前で呼ばれます。
この病態を「結膜嚢腫」と呼ぶことがあるようです。また「結膜リンパ管拡張症」と呼ぶこともあるようです(ちなみに私が先輩方から教わった病名はこのどちらでもありません…)。
ふとしたきっかけで、この病態が複数の違った病名で呼ばれていることを知りました。
(では正式な病名は…?)…小さな疑問ですがなんだかとても気になったので、図書館に行き調べてみました。
●「結膜嚢胞」と呼ぶのがよさそうです
結果わかったこと……どうやらこれは【結膜嚢胞】と呼ぶのがよさそうです。
また結膜嚢胞はさらに【結膜封入嚢胞】と【結膜リンパ管拡張症】に分けられるということでした。
では今回の水ぶくれは封入嚢胞なのか?リンパ管拡張症なのか?…………わかりません…。
・封入嚢胞とリンパ管拡張症は見た目では区別がつかないことも多い。
・リンパ管拡張症なら穿刺で治る可能性がある(再発することも多い)。
・結膜上皮の迷入によって生じた封入嚢胞は穿刺では治らないと考えられる。
・確実なのは手術で切除すること。そして切り取ったものを病理診断して鑑別すること
等々のことがわかりました。
●今年の診療について
結膜嚢胞、結膜嚢腫、結膜リンパ管拡張症(そして私が教わった病名も)…どれも間違いではないと思います。
各先生により違った病名で呼ばれることもありますが、病態に対する考えや治療方針は一致しています。
(だったら名前なんて…)と思わずに調べてみたら、新しい知識も増えました。
日常の診療で疑問に思ったことは小さなことでもまず調べてみる。そこで得た知識を診療に役立てる。
そんな1年にしようと、新年になって間もなく思いました。
さて以前お話しましたが、この度、持病の検査入院のため1週間ほどお休みをいただくこととなりました。
それに伴い次回コラムはお休みです。入院中は今後の診療に役立つ勉強をして過ごしたいと思っています。
そして4月からまたコラムを再開し、皆さんの健康に役立つ情報をお届けできればと思います。
お休みをいただいている間は代務の先生方に診療をお願いし、私の診療は3月より再開いたします。
2月および3月の診療担当医は別ページにてご確認ください。それでは今後ともよろしくお願いいたします。