こんにちは院長の磯目です。前回コラムから「よくある目の病気」についてお話しさせていただいてます。
前回は最もよくある目の病気であろう「結膜炎」についてお話させていただきました。
今回は「結膜炎…?いや何かが違う…」そんな目の病気についてお話させていただきます。
●「目が赤くなった!でも結膜炎…じゃない?」
患者さんの了承を得て実際の写真を掲載させていただくことになりました。
見て見ましょう。確かに「目が赤い」ですね。これは「結膜炎」なんでしょうか…?
何か違う感じがしますね。これは「結膜炎」ではなく「結膜下出血」という病態です。
●部分的・局所的な赤み
「白目が赤いのだけど部分的…」。結膜下出血はこのように局所的な赤みに留まることも多いです。
対して結膜炎は白目に全体的な赤みが生じることが多いです。
もちろん白目全体に赤みを生じる結膜下出血もありますが「部分的・局所的な赤みであるか」はポイントの1つだと思います。
●「充血」というより「出血」!?
結膜炎の時は白目が「充血」して見えます。「充血」の赤さはピンク色に近いものです。
対して結膜下出血は「見るからに血の色!」です。
それもそのはず「結膜下出血」というのは結膜にきている多くの血管の一部が切れて出血し結膜の下に広がってしまった状態です。
●「出血」!?大変なことじゃないですか…!?
たしかに「血が出る」ということはショッキングなことです。結膜下出血で慌てて来院される方も多いですし、夜中3時に救急車で来院した方も診察させていただいたことがあります。
しかし慌てて救急車を呼んだりせず、まずは落ち着いてください。
●原因はなんでしょうか…?
原因ははっきりしないことが多いです。目をこするなど摩擦が原因とも言われていますし何の病気もない健康な若い方に突然発症することもあります。
高血圧、糖尿病、あるいはなんらかの血液疾患が原因とも言われますが、結膜下出血を起こしたらすぐに大きな病気を疑うべきだということはありません。
「頻回に繰り返し起こる」、「出血がかなり広範囲・多量である」などの場合に総合病院で血液検査等を受けてみても良いかもしれません。
●「治療してください!明日までに!」
結婚式の写真撮影を控えた方からお願いされたことがあります…。
結膜下出血を即座に治療することは不可能であると思われます。結膜炎ではありませんので充血を抑える目薬・抗菌剤等を点眼しても意味はないと思われます。
血管収縮剤のようなものを処方される場合もありますし、蒸しタオルなどで温めることを推奨されてる方もいるようですが、「様子をみるしかない」という意見が多く私もそれに賛同です。目薬も何も出されないと不安かも知れませんが…。
出血が吸収される目安は10日~2週間と言われています。場合によっては1ヶ月以上かかる方もいます。結局この方は2週間遅れで写真撮影となったそうです。
●衝撃の見た目…でも落ち着いてください。
眼科領域においてこれほど見た目と重症度のギャップが激しいものはないのではないか…と思います。
結膜下出血は結膜炎よりも大分頻度が少ない病態です。「こんなことになったのは人生初!」と言う方も多く、軽度の違和感程度でこれといった症状がないことも多いです。
ですので「ある日突然」・「ふと気づいたら」・「今までなったことのない目の赤み…血が出た!」…驚くのは仕方のないことかと思います。しかしまずは落ち着いてください。
これといった治療法がない病態でありますが、御心配な方は是非御相談ください。