前回「花粉症」としてアレルギー性の病気の話をしたので、診察の機会はさほど多くはないですが…少し重症のアレルギー性疾患についてお話できればと思います。
今回お話しするのは「春季カタル」という病気です。
●春季カタルの特徴
春季カタルは春から夏にかけて悪くなるアレルギー性疾患と言われます。
(まさにタイムリーな病気!…かというとそうでもなく…)季節に関係なく悪くなることもあります。
子供や青少年に多く、また男性に多い傾向にあるようです。
今回も患者さんから許可をいただいて写真を掲載させていただきますが、この方も若い男性の方です。
この写真は上瞼をひっくり返して撮影させていただいた瞼の裏の粘膜(「瞼結膜」といいます)の様子です。
非常にひどい粘膜の腫れが多く認められます(石垣に似ていることから「石垣状乳頭増殖」と呼ばれる特徴的な所見です)。
瞼の裏がこのように腫れ上がってるわけですから黒目(角膜)も擦れて炎症を起こします。
重症化すると角膜が深くえぐれて角膜潰瘍と呼ばれる状態になることもあります。
そうなると痒みだけではなく強い痛みも出てくるかと思います。
●春季カタルの治療
治療は抗アレルギー薬の点眼ですが原因となる「アレルゲン」の除去に努めることも有効でしょう。
アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と言いますが、アレルゲンは身の回りにたくさんあります。
例えば家の中では「ダニ」、「ハウスダスト」等があげられます。春季カタルの方はしっかり掃除をして清潔な部屋で生活することが大事だと思われます。
●重症例では総合病院の受診を。
春季カタルはアトピー性皮膚炎を合併していることが多いとされます。
また春季カタルは前述のように重症化し強い角膜炎を起こすこともあり、永続的な視力低下の原因になる恐れもあります。
ステロイドを瞼結膜に注射したり免疫抑制剤等の投与が必要な症例もあります。
重症と判断される症例では他科との連携が可能な設備の整った総合病院等を受診することも必要と思います。
ということで今回、春季カタルについてお話しましたが季節は春です。
お出かけも楽しい季節です。4月末からは連休もはじまります。
当院は土日・祝日・連休中も診療を行います。
詳しくは【「4月およびゴールデンウィーク期間中の診療担当医師」のお知らせ】を御覧ください。
それでは次回コラムにて。