今回のコラムは、前回に引き続き「はやり目」のお話しをしたいと思います。
前回のコラムでは…
・「はやり目」は医学用語で「流行性角結膜炎」と呼ばれ、「EKC(イー・ケイ・シー)」と略されること。
・EKCは「アデノウイルス」と呼ばれるウイルスによる「ウイルス性結膜炎」の一種であること。
・EKCには、有効な治療薬がなく、治るまで時間がかかること。
…等々をお話ししました。罹ってしまうと厄介なEKC…予防はどうすればよいのでしょうか?
●EKCの予防には、「手洗い」が重要です。
「外から帰ったら手洗いを。」私が子供の時から言われてきたことですが…
私の子供時代に比べ、現代の感染予防に対する意識はかなり高いと思います。
最近は医療施設に限らず、「手に擦り込むタイプの消毒液」を設置している所も多いですね。
ああいった「速乾性の手指消毒薬」は使用も簡単ですし、EKCの予防にも効果的ではないのでしょうか?
しかし、EKCの予防に関して言えば、速乾性の手指消毒薬はあまり効果的ではないようです。
「消毒用エタノール」に「ベンザルコニウム塩化物」というものを添加したもの等が代表的ですが、
これら「速乾性擦式手指消毒薬」のアデノウイルスに対する有効性は確立されていないようです。
EKCの予防でより重要なのは「手洗い」だと言われます。
時代が変わっても「外から帰ったら手洗いを。」ということですね。
●ポイントは【大量の流水で洗い流すこと】。
では「手洗いのポイント」はなんでしょうか?
石鹸をたくさんつけて洗うことでしょうか?
まず知っておきたいのは「石鹸でアデノウイルスが死滅するわけではない」ということです。
そして、手洗いのポイントは【大量の流水で洗い流すこと】だとされています。
アデノウイルスは色々な消毒薬に抵抗性を持つため、大量の水で洗い流すことが有効とされます。
●様々な眼病予防のために【手洗い】を。
EKCの予防には、速乾性の消毒薬を擦り込むより、流水での念入りな手洗いが有効であると言えます。
(手洗い後に速乾性消毒薬を併用すると、さらに高い消毒効果が得られるという報告もあります。)
EKCに限らず様々な眼病予防のためにも…
帰宅後にコンタクトを外す前、目の周りのお化粧を落とす前などには【手洗い】を心掛けてみてください。
「よくある目の病気」と題したコラムは、今回をもって一区切りとしたいと思います。
今後のコラムでは、よくある病気に関わらず、様々な目に関する話題に触れていければと思います。
それでは次回コラムにて。