院長の磯目です。今回は黒目についてのお話です。
「黒目の周りが白いのですが…」
20代後半から30代の女性患者さんから相談を受けることがあります。
●「老人環」という状態
確かに黒目(以降「角膜」と呼びます)の周りが白くなることはあります。
例えば加齢により、血液中の脂質が角膜の周辺部に沈着することがあります。
このような状態を「老人環」と言います(患者さんにとってはとても嫌な名前です…)。
ただ写真の患者さんは22歳の男性です。実はこの場合「老人環」とは言わないのです…。
●「若年環」と呼ぶこともある。
「老人環が40歳以下に見られる場合」を特に区別して「若年環」と呼びます。
私は40を過ぎてますので…私の目に老人環が見られても「よくあること」で済みます(笑)。
しかし、この22歳の男性の場合は「若年環」と呼ぶのが適切ですし、扱いも違ってきます。
若くしてこのような所見が見られる場合、「高コレステロール血症」の可能性があります。
この患者さんも、過去に高コレステロール血症の指摘があったものの受診を中断されたよう…。
心筋梗塞や脳梗塞のリスクにもなるので再度検査を受けるようお話しました。
●「若い女性」の場合は…
さて冒頭の「若い女性」の場合はどうでしょうか?この患者さん達も若年環でしょうか?
いえ…ほとんどが「長期的なコンタクトレンズの障害」です。その多くは「カラコン」です。
以前のコラムでお話したことがありますが、これは「角膜新生血管」というものです。
白目の方から角膜に血管が侵入しているのがわかるでしょうか。白い濁りを伴っていることもわかります。
長期的・慢性的な酸素不足が続くと、角膜は本来ないはずの血管を生やし酸素不足を解消しようとします。
特に「カラコン」はファッション性重視で、健康に配慮されているとは思えないものも多く存在します。
十代から長期的にカラコンを使用し、20代後半あたりに障害に気づく方が多いようです。
ただ残念なことに、この状態は治療のしようがありません…。
いずれにせよ若くしての「黒目の周りが白い」は何らかのサインと言えるかも知れません。
未治療の高コレステロール血症…カラコンの長期使用…思い当たる節がある方は御注意を。
それでは次回コラムにて。